休む海鳥たち

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相模湾にいる鳥たちは、幸せである。きっと、まだ現時点では、この海はそこまでひどく汚染されてはいないだろう。きっと、としか言えないのは、誰もこの海の汚染状況を調べていないからだ。昨日、サーファーの知り合いとしゃべっていたら、まだ海に入ってないと言っていた。日本サーフィン連盟は、余震による津波の恐れなどから被災地でのサーフィン自粛を呼びかけているけど、湘南は先日から海に入ってるサーファーも多いんじゃないの? と聞いたら、彼は「放射能がコワイから」と答えた。んなもん大丈夫だよー、とは誰も言えない。この海の数値は、わたしが報道に接したり検索した限りでは、誰も測っていないか、測ってても発表されていないのだ。誰が彼のことを臆病だと笑えるだろうか。

この期に及んでまだ、格納容器損傷や燃料棒破損の"可能性"なんてことを会見で発表したり報道しとるのは、なんのつもりなんかなあ。わたしのようなトーシロでさえ、12日だったか13日だったか、原発事故の報道がなされたときから、既に福島第1の状況がスリーマイルでの事故のレベルを超えてしまい、東電が原発をコントロールできなくなってることは容易に理解できたはず。そして以降は、もうシナリオ通りに事象が積み重ねられてきている。政府や東電が後追いで、起こった事象を報告するのはともかくとして、それをそのまま垂れ流すだけでは報道の意味はない。

福島の海でも、海鳥が翼を休めているだろう。彼らの浮かぶ海には、かつて人類がやらかしたことのない規模で、放射性物質が流れ込んでいる。そして放射性物質はもちろん、福島沖に留まってはいない。北太平洋海流などによって北太平洋全域へ、さらに海洋循環によって、インドネシアあたりからインド洋へ、喜望峰を回って大西洋へ。つまり世界中の海へ流れていく。1000km以上離れたスウェーデンで放射性の粒子が検出されて発覚したチェルノブイリの事故では、ウクライナ、ベラルーシ、ロシア半径500kmの範囲を強く汚染し、影響は欧州全土に及んだけれど、海は太平洋だけでも約1億5,555万7千km2。地球の表面の1/3である。その影響の大きさを思うと、身震いしてしまう。