「オレ、東京行くわ」
ある日、突然そんな宣言をして、乗った列車が銀河。家出じゃないけど、認めた親もいま思うとエライ。そしてそういうオバカな旅立ちには、やはり夜行がふさわしい(笑)。お供は角のポケット瓶と文庫本。そして早朝の東京駅、ホームの売店で新聞を買い、その求人欄から何社か選んでABC順に回ったひとつ目の会社にいい感触の返事をもらい、そしていまの茅ヶ崎定住に至るオバカな関東暮らしがはじまったのだった。
月曜22時過ぎ。通勤電車を待つ人々の背中に、非日常な列車が入線する。まあ、こういう夜行寝台が非日常になってるってことは、つまり需要がなくなってたってことなんだろうなあ。昔はみんな、仕事や旅行に、もっと日常的に夜行を使ってたような気がする。寝台じゃなく、普通車のもいっぱい走ってたよなあ。確かに時代は変わった。しかし、それでも東京-大阪のドル箱路線。終電より遅く出て始発より早く着いて、しかも寝台料金はいるけど急行なので、のぞみで行くのと料金も変わらない。昼間の新幹線があれほど利用されているのだ。まだなにか手があったんじゃないか、という気がしてならないんだが。
今回のお供は、実家でぽろっと見つけた松本零士の文庫マンガ本「四次元世界(1)」。昭和52年6月発行で、260円だったようだ。
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命あるものにのみ未来がある
可能性を信じるものにのみ未来がある
(収録の第3生命帯より)
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ヤマトやスリーナインに続く松本零士不変のテーマであり、青春、いや人生に普遍のテーマが、夜行列車にはあったような気がするんだよなあ。