月齢20.2。下弦は25日の11時47分。
4月17日の読売では「原発賠償へ新機構、東電支援へ政府保証を検討」、20日の朝日では「原発被害者の賠償で新組織=交付国債で公的支援―政府」。他のメディアも同様で、誰がどういう筋から記事書かせてるんだか知らないが、ふざけた報道がぽこぽこ目につくなあとか思ってたら、衆院議員の河野太郎氏(特に支持しているわけではないし、その父親は売国奴だと思ってるがw)も日記に書いていた。
これは要するに、めちゃくちゃ乱暴に言ってしまえば、東電に代わって賠償する機構を設立し、そこがあらゆる賠償を一手に行うというもの。で、そのカネはどこから出るかというと、読売の記事では1に東電の資金(利益剰余金などから数千億円)と2に各電力会社の拠出資金と、そして政府の資金拠出である。さらに政府が保障する銀行借入金を東電に回し、東電がそれを10〜15年で返すちゅーもの。一方の朝日はちょっと記事の意味がよくわからないが(笑)、要は国が新組織に公的資金を提供し、東電がそれを返すっちゅーもの。
てこたーさ、結局、東電はナニも痛まないんである。まず原賠法に基づいて国がカネをぶっ込んでくれる。次に、いま東電が賠償しきれない金額は、国が保障まで付けて銀行から借りてくれる。さらに将来の国民へ返済を押し付ける国債まで発行しちゃう。で、東電はそのカネを、電気料金に上乗せして、のんびり返せばいい、ということなんである。
おまえなー、それはダメだろう。まず東電は、持ってるモノのすべてを吐き出さないとダメだろう。無数に持ってる贅沢な保養所や研修(名目の別荘のような)施設など、発電や送電に関わらないモノの一切合切を売り飛ばさないとダメだろう。あるいは発電所も送電施設も変電所も、全部売り飛ばさないとダメだろう。そこらの民間企業よりずっと高い給与水準を、そこらの民間企業並みに下げないとダメだろう。もちろん、自分たちもわかってたはずの原発の諸問題を放置し続けた関係各所の役員や社員どもは、全員獄門だ、というわけにもいかんだろうが、徹底的に糾弾され制裁を受けないとダメだろう。
足りないカネをどうするんだ、というのは、現実的問題を横に置いておくのが許されるなら、それから後の話である。今回の原発事故は、東電による犯罪である。断じて天災ではないのだ。その東電が、企業も施設も人もすべてそのままで、納税者や利用者のカネで被害者を救済するなど、言語道断だと思っちゃうんだけど、どうも政治家や政府や官僚や学者どもは、自分たちは素知らぬ顔を決め込みながら、同じ穴の狢である東電をコッソリ救済するつもりのようである。政府が検討とか構想が浮上とか、実はナニも決まってないのに、御用マスコミがあたかも既成事実のような顔をしてモノを言い始めたら注意が必要だ。
それにしてもいつごろからだっけ、その”公的資金”という言葉が出てきたの。なんで税金とか国家予算とか言わないのかな。要は、みんなから集めた税金だ、という印象を希薄にしたくて編み出された新用語だよなー。本来ならそれを糾弾すべき立場であるはずの新聞が使うってのはどうなってるんだろうなーいったい。