今日朝9時の線量は0.043μSv/h。そしてこの24時間は40〜43で推移していたようだ。
経済同友会の代表幹事がフクイチを訪問し、故吉田所長の遺影が飾られた需要免震棟で、「経済再生やエネルギーの安定供給には、原発がどうしても必要」だと所員を激励したそうな。メルトダウンして廃炉作業している連中相手に、原発が必要もなにもあったもんじゃないと思うんだが。故吉田所長の英雄視も絶えないなあ。ナニが英雄的行為なのかというと、結局のところ、本店の指示に反して海水を注入し続けたというだけの話しか見えてこない。それも、本店に反旗を翻した、なんてものではなく、すでに行われていた海水の注入に対し、社内の指示の混乱で武黒フェローが一時中止を指示したけど、それを無視したという程度の話だ。死を覚悟したのがスゴイなんてことなら、上の人間なんか死んだっていい、オレも行くと言った菅直人だって同じだろう。現場レベルではベントの弁を回しに行って放射線宿酔になっちゃった作業員の方が、よっぽど死ぬと思ったに違いない。さらに現場から逃げなかったのがエライ、なんていう意見まであって、そうなるともう笑っちゃうしかないわけだ。吉田所長だって現場責任者である。自分たちの施設が起こした事故(事件)で、へたすりゃ日本そのものに計り知れないダメージが予想されるとき、そりゃ逃げるなんてことの前に最善くらい尽くすだろう。日本の会社員ナメてんのか、という話である。
実際には地震の揺れで、すでに大量の放射線漏れを引き起こしていたというデータもあるが、それは横に置いておいて、最終的に全基メルトダウンを起こしたのは非常用電源もぶっ飛んでブラックアウトを起こし、炉心を冷却できなくなったからである。なんで最後の頼みの非常用発電機が死んだかと言えば、たかが数メートルの津波がたった5.6メートルの防潮堤を越えて発電所敷地を襲い、原子炉海側地下に無防備に置かれていた発電機をパーにしたからだ。ではなんで、フクイチの防潮堤が5.6mしかなかったのか。東電社内でも新たに十数メートル級の津波が予想されるというデータが検討されたことがあるにも関わらず、そんなのは計算上のデータで実際にはあり得ないと会議で主張して防潮対策を放置したのは、ほかならぬ吉田所長である。非常用発電機がすべて水没したとき、吉田所長は当然、自分の発言を思い出しただろう。そんな技術者にあらざるべき慢心を心から悔いたか、あるいは自己の理論的な正しさを正当化し、目の前の事態を不可抗力だと思ったか。そのあたりこそ吉田所長に語ってほしかったんだけれど、残念ながらもはや彼の話は二度と聞けないのだ。