今日朝9時の線量は0.040μSv/h。そしてこの24時間は、11日のデータに欠損があるのでわからないが、11日14時以降では、38〜40で推移していたようだ。
繰り返し流される津波の映像に、言葉を失っていたあの日。しかしすでに福島では、どれだけ甚大な被害をもたらそうとも、水が去れば復興をはじめられる津波とは違う、人間が科学などというものを手にしなければ、そして人間が然るべき対策をしておけば決して受けるはずのなかった、核の厄災が降りかかりはじめていた。
結果的に、純粋な「運に恵まれて」、被害は「たったあれだけ」で済んでいる。多大なる被害を被り、人生の軌道を歪められ、いまも不便な生活を強いられている方々に、その言い方はないだろう、と言われるかもしれないが、しかしあそこには100トンからの核燃料があったのだ。もちろん周辺の人間はよってたかって奮闘したんだろうし、ヘリで水をタンクに入れるなんて茶番を踊らされた自衛隊のみなさんにはほんとに気の毒だが、記憶に残る報道で何らかの戦果が報じられたのは、ベテラン作業員が放射線宿酔になるレベルの被曝をしながらバルブを開けたというくらい。それとてB-29の空襲に竹槍で立ち向かったようなもんだったわけだ。
人間のコントロールを完全に離れ、暴走した原発は、しかしどういういわけか1496体もの燃料棒が溶け落ちたにも関わらず、建屋が水素爆発、あるいは片方は水蒸気爆発だとも言われるが、まあ、そんな程度の破壊で済んだ。もちろんそのとき、夥しい放射性物質が撒き散らされたが、こんどはなんと元寇のときに続いて3度目の神風が吹いちゃって、大半が海へ落ちた。さらに、どうやら溶け落ちた核燃料は、それがどこだかわからないが、3基が3基とも、いい感じのところに引っかかって止まった、らしい。
日本は、神の国である。ワシはほんと、心からそう思った。そうでなければ、こんなマンガのようなラッキーが、2度も3度も続くわけがない。天照大神でもヤハウェでもジーザスでもアラーでも仏陀でもいい。もしかしたら今上陛下の祈りのおかげかもしれないけど、とにかく何らかの見えざる手が働いて、たったこれだけで済んだとしか思えない。そもそもの大震災が不幸な出来事ではあるけれど、少なくとも福島に訪れた幸運の連続にワシは驚いた。
しかしそのあと、この幸運に気付かず、いや、あえて気付かないふりをして、破滅の因子を内包していることが明白となった原発を、そのまま再び動かそうとする勢力が独擅することとなって、ワシはもっと驚くことになるわけだけど、あのころはそんなことになろうとは思いもせず、ただただ、見えざるチカラに祈り、感謝していたのだ。