今日の昼飯 は、花園の「阿じろ」で久しぶりの精進

ここで法事があるたびに、料理を頼んでいた門前の精進料理の店「阿じろ」。もともとこの巨大な寺の庫裏で料理を修行し、店を持たず寺の料理方を務めた創業者の店は、いまも本山から数々の塔頭からの諸々の儀式や法要の度の料理を任されてて、だから親戚一同呼ぶようなときは、お寺さんに仕出し、ていうか出張料理してもらうわけだけど、少人数では仕出しは気が引ける(?)ので、お店まで出向いて食べてたんである。それが一時期、門前のお店が、どんな時期の、どんな曜日の、どんな時間帯でも、まったく予約が取れなくなった。どうしたんだろ、とか思ってたら、どうやら何年か前、ミシュランの星がついたとかで、お客が押し寄せた時期があったようだ、というのを最近知った。なるほどー。
で、そんなのに飛びつく一過性の客が去ったのか、あるいはコロナ禍のせいか、今回は楽勝で店の予約ができたので、和尚と一緒に精進のランチである。十人くらいの会席で使うような部屋をたった3人、なんとも贅沢な精進料理なのだ。贅沢な精進料理という日本語、おかしいような気もするが、これだけの素材を用意し、ものすごい手間暇をかけ、匠の技で調理し盛り付けし、目の前に並べてくれるのだ。やっぱこれほどに贅沢な料理はそうそうないのだ。墓参りなんてのは口実で、この料理を食べるために、京都へ帰ってるようなものかもしれない。

ここんちの料理、母親は大好きだったが、とにかく肉や魚が喰いたいオヤジは、これまた門前の京料理の店「花末」さんの方が好きだったなあ。「どうも精進料理は物足りなくてなあ」と、いつも言ってたそのオヤジも、そして阿じろさん推しだった母親も、もういない。花末さんも、いつの間にか店を閉めてしまった。時は流れた。しかしここの精進は、変わらないのだ。

Author: shun

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