ギョーカイの人なら、ナニ言ってんだよ、そんなの10年以上も前の話だろうよ、とか思っちゃうんだろうけど、こっちゃフェーダーが勝手に動くだけでも感動してるんである。
しかし、アレだ。大きな荷物の項目で書いたときは、いちおー“YAMAHAの卓のプリアンプやエフェクトに大きな不満があるわけじゃないけど、もっといい音が欲しいんである”なんて書きつつ、買い替えの重点はなにより、ステージでもフロアでも、なんなれば厨房でもiPadで音をいじれるという、デジタルミキサーならではの操作性の抜本的向上だったわけだけど、いやあ、申し訳ない。こーんなに音が変わるとは思ってなかった。デジタルなめてた。ほんと、スンマセン。
ワンツー、ワンツー。音出しした瞬間、なんだこりゃ、なのだ。音のクリアさが、根っこから違う。なんか、薄い膜が剥ぎ取られて、音のホントのサーフェスが顔を出したという感じ。ノイズ感も、皆無である。
まーミキサーなんか、入った信号をこねくり回して、いろんな色つけて出すわけなんで、デジタル化する意味、そりゃすげーあるんだろうなあ。こうなると、いまウチはPA操作場所からステージまで、20mものマルチケーブルで繋いでんだけど、これもデジタルなステージボックスにしてLANケーブルで繋ぐ、なんてことにすりゃ、もっとクリアに音が出せるのかなあ。
なーんて、んなわけないかー。アナログだ、デジタルだ、の前に、こりゃプリアンプの違いのほうが大きいという気もするなあ。“高品位にありのままのキャラクターを再現する「原音忠実」を目指し、丁寧にチューニングされ、全周波数帯域に渡りフラットな特性に仕上げ”たというのがヤマハMG16のプリアンプ。一方のALLEN&HEATH Qu-16は“豊かで暖かみのある音楽的なサウンドを生み出す、ALLEN&HEATH伝統のAnalogiQ™デジタル・コントロールド・プリアンプを16基搭載。さらなる高音質と低ノイズフロアを実現”っちゅーことなので、この音の差は、ヤマハとALLEN&HEATHの音作りの違いかもしれない。
んじゃ、どっちがいいんだと言われたら、ワシ的には、ALLEN&HEATHの方が、音が輝いてて好きだ。というわけでBOTCHY BOTCHYの音は、比類なく良くなった……ような気がするワシなのだ。
で、もちろん音楽の店なんだから、音質が最重要な話ではあるが、ワシ的にはこっちがさらに重要だったのだ。つまり、ミキサー操作の可搬性、である。当たり前なんだけど、外音は外に、中音は中に行かないと聞こえない。そしてこれまでは、どんなつまんないことでもナニかON/OFFしたり調整する必要があれば、卓に戻らなければならなかった。しかし、今日からは専用コントロールアプリ「Qu-Pad」を立ち上げた、この画面パキパキに割れてるiPadを手にすれば、どこにいたってミキサーを操作できるのだ。あー、もー、なんて素晴らしいんだ。こんな、音楽アワーの放送なんて、一人の弾き語りでさえ、便利なことこの上なし。こんなに快適になるなら、もっともっと早く導入すればよかった。デジタル卓なんて難しくて使いこなせないんじゃないか、なんて思って手を出しあぐねていたんだけど、なーんだ、案ずるより産むが易し、である。って、実はiPadとミキサー本体との接続に30分から四苦八苦したのはヒミツだ。