今日のサザンビーチ と今日の放射線量


今日朝9時の線量は0.038μSv/h。そしてこの24時間は37〜39で推移していたようだ。
黒木 亮著『ザ・原発所長』という本が出版され、その筆者が東洋経済オンラインに「「原子力ムラ」を生きた東電・吉田昌郎の功罪」という記事を書いていた。もちろんテーマは、あの1F吉田所長である。で、この本はまだ読んでないし、上下巻合わせて3600円コースだから読むとしたら文庫化を待つだろうなあ。(^^;
で、もっぺん書くけど、ワシはまだ読んでないので、なので今日の日記は、この本がそうである、という話ではない。読んでない本のことは書けない。ていうか、そもそも『ザ・原発所長』という本は”奥羽第一原発”という架空の原発で起こった出来事を描写した、小説である。あくまでもノンフィクション・ノベルなのだ。ワシが書くのは、あくまでも東電福島第一原発所長だった吉田氏のことについてだ。
何度も書いているように、彼をヒーロー視するのはアタマの悪い美談好き向けにでっちあげられた、安っぽい三文小説でしかないと思う。あるいはうがった見方をすれば、一時巷に氾濫した美談は、東電の無為無策を糊塗し、菅直人を悪役に仕立てるための、巧妙な情報操作だったりする可能性さえあるかもしれない。
というのも、なにがどうヒーローなのか、そう思っていろんな記事を読んでも、首相である菅直人に怯まなかったとか、本店と戦って海水の注入を継続した、とかいう話しか出てこないのだ。あるものなど、吉田所長が最悪の事態を救った、みたいなものまであった。
しかし、吉田所長の奮闘の結果、原発はメルトダウンしないですんだ、というのならともかく、結局そんなもんでは冷却できずに原発はぶっ飛んだし、そもそも海水注入など遅きに失していた話。さらに客観的な事実から言えば、彼はヒーローどころか、1Fをブラックアウトさせた張本人のひとりである。
何度も報道されてるしこのblogでも何度も書いてるように、まず国土庁による99年の「津波浸水予測図」や政府・地震調査研究推進本部が出した2002年の「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」など、既に新しい公式な知見は複数上がっていて、2007年の新潟地震で柏崎が被災したのが契機になったのか、ようやく2008年、それまで1Fが想定していた津波の水位5.7mを大幅に超え、最大で水位10.2m、浸水高15.7mという津波の想定が東電の研究で出てきた。そしてその対処が検討されたのに、原子力設備管理部が”現実にはあり得ない”と主張して安全対策は放置されたわけだが、その原子力設備管理部長こそが、この吉田所長である。当時の毎日では、”原子力設備管理部は「そのような津波が来るはずはない」と主張。評価結果は学術的な性格が強く、深刻に受け取る必要はないとの判断だったという。同本部の上層部もこれを了承した”というが、そりゃー会社にすれば、既に稼働から40年も経った原発に余計なカネをかけないですむなら、それに越したことはない。渡りに船で安全対策は葬り去られたわけだ。もちろん吉田所長、地震や津波に関しては完全なトーシロである。
つまり吉田所長は、自分が撒いた種、いや、逆か、撒くべき種を撒かなかった結果として、自分の原発が水かぶってブラックアウトしたのだから、その後の処理なんか、ただ自分のケツを自分で拭いただけの話であり、それも最終的に原発は全部メルトダウンして大災害となったのだから、結局コイツは自分のケツさえ拭けなかった男だという話なのだ。
さらに吉田所長は結局、自分が所長をしてた原発があんなことになったにもかかわらず、2008年により高い津波を想定した対処を不要と判断したことに関して、最後まで間違いだと認めなかったしな。まあ、その間違いを認めたら、会社の非を認めることになる。会社第一、保身第一のニッポンのサラリーマンにしたら他に選択はなかったっちゅーことだろうけど、美談どころか、勝俣恒久や武藤栄、武黒一郎らと雁首並べて刑事訴追されてもおかしくない話。だから、あれで現場から逃げ出しでもしていたら、クソの中のクソである。
なんだか死者を冒涜しているようで、書いててなんだかいやな気分になってきたが、吉田所長もまた紛れもなく、ムラの住人だったということだ。それは彼を責めているのではなくて、ニッポンのサラリーマンは、社会より会社が大事だから、それもしょうがない、ということだ。しかしヒーローというのは、アホでないと務まらない。そういう意味でも吉田所長と菅直人元首相、どっちがヒーローだと問われれば、ワシは迷わず菅だと思うなあ。
なお、念のためにもう一度書くけど、この筆者の著書が、そういう美談本だと決めつけて、それを批判しているわけではない。読んでもいない本の内容を語れるわけがないので、そこは誤解しないように。

Author: shun

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