写真を趣味とする、茅ヶ崎某店のお客さまが、読書日記を写真集にしたという。見開きの片側が書籍の写真で、反対側が感想文で、100ページからのボリュームだという。うひゃー、そりゃまたリッチな自費出版だなあ。何冊刷ったんですか? 印刷費は? と聞いたら、耳を疑う返事。作ったのは1冊で、費用は1000円以下だというじゃないか。どひゃー。
その昔、ワシが編集や出版をメインの生業にしてたころは、製本された印刷物を作るのは、いろんなスペシャルな職種の人が、片手はおろか両手でも足りない人数で、寄ってたかってウン百万単位のカネをかけて行う作業だった。余談だが製作費だって、印刷や流通を別にして、ペー単(ページ単価)がリッチな出版社なら20万以上、ふつうなら10万、安くて数万円、3万切ってりゃまともなヤツは見向きもしないゴミ仕事、ちう感じだったよなあ。
まあ、ワシなんかスタッフに払うカネがなくて、最終的にいろんな役目を全部ひとりで背負い込む、なんてこともあったけど、そして、ほかにもそんなヤツいっぱいいたけど、みんな何年も、現場でいろんなことを経験してきたからできることだった。
しかし、世の中、知らないうちに変わってたのだ。たぶん、ワシだけが遅れてたんだろうけど、写真集となるとオフセット印刷やグラビア印刷、なんて思ってたのはワシだけで、すでに何年も前から、運動会や七五三だののイベントがあったり、どこかに旅行に行ったりしたときに、スマホなんかの写真をwebでレイアウトに貼り付けて、アルバム代わりの「フォトブック」なるものを作るのが、当たり前だという。つまり、昔は台紙に糊で貼ったり、ナカバヤシのフエルアルバムみたいな、ビニールと台紙の間に写真を挟んで作ってたアルバムを、いまは高度にデジタルカラーマネージメントされたオンデマンド印刷機(要するにちょいと高級なプリンターだ)で刷るから、1枚から刷れるし、16ページ単位でないと効率が悪い、なんてこともない。紙のまとめ買いも、たぶんいらない。
まあ、それでも一冊2千円とか3千円とかするわけだ。たとえば文庫サイズの36ページで、1980円でも、ワシ、1冊だけでも作れて、なんて安いんだと思っただろうけど、ここんちのはなんと、こともあろうか198円である。もう、なんちゅーか、桁が違う。本屋で文庫本買うより安い。へたすりゃ古本の文庫本より安い。あり得ない。激安にもほどがある。こりゃザラ紙に安物インクジェットで刷ったみたいな、ドット見えるしジャギってるようなのじゃないのか。A5スクエア(148×148mm)で298円。とにかく作ってみるしかない値段だ。
というわけで1時間、iPhoneの写真から選んでいろんなレイアウトを選び、文字スペースにテキトーなこと書きなぐって[発注]ボタンを押して終了。翌日にはもう発送である。ま、工場が鹿児島で届くのに1日余計にかかるけど、サックリ届いたのを見てまた驚いた。この値段なら立派なもんだ、てなレベルじゃない。2980円でもナットクしたと思う。ま、それはワシが浦島太郎だったからかもしれない(なんとさっき例に出したフエルアルバムのナカバヤシまでフォトブックメーカーになっちゃってるのね)が、まあ、むかしの印刷事情を知ってる者としては、そしてフォトブックなるものを昨日今日知った者としては、こーーんなに長文日記に書いちゃうほど驚いたし、いろいろ可能性感じちゃったんである。
「アメショーのショーちゃん」はそんなわけで茅ヶ崎某店ことBOTCHY BOTCHYのカウンターにあります。キョーミあるかたは、ぜひご覧ください。欲しいっちゅー人は298円+送料です。w さあ、次はA5、144ページ、998円に挑戦だあ。