ここでカレー喰って、そして年季の入ったサイフォンで淹れられたコーヒー飲んでると、タイムマシンに乗ってあのころに戻ったような、というか、この店の時間が、実はあのころからずっとずっと止まったままだったんじゃないか、なんて気分になっちゃうわけだけど、でも、カウンターの中を見れば、そこに立っているマスターは、確かに過ぎ去った年月をその顔に刻んでいるし、もしここに鏡があったら、そこに映るワシは、浦島太郎の玉手箱を開けたような顔になっているのだ。それになにより、この写真は、なんとマスターのファミリー三代なんである。もちろんワシがここんちに通ってたころは、三代目はおろか、二代目さえこの世に生れてなかったんだから、そりゃー歳もとるわけだよなあ。それはともかく、明後日でこの店は、40年くらいになるはずの長い営業にピリオドを打つ。先週に続いてもう一度来られたのはホントに僥倖だった。