世界初の市販直4オートバイはホンダのドリームCB750 Four、なんて思ってる人もいるようだが、バカ言っちゃいけない。ここんちは1912年、57in3(934cc)から7HPを発揮する直列4気筒エンジンを縦置きし、325ドルで発売していたのだ。
いろいろWebで調べる限り、こいつは1929〜31年あたりの、つまりHenderson Motorcycleが消滅する頃の、最後の最後のモデルのようだなあ。その5メインベアリングのクランクシャフトとダウンドラフトキャブレターを搭載した直4は4000rpmで40馬力を叩き出し、時速100マイル(160km/h)で走れたというから、もはや現代のオートバイと比べても遜色ない性能だ。もっとも縦安性は、いまのと比べりゃそりゃーもう恐ろしいもんだったろうけれど。
あー、もー、なんて美しいんだろう。1910年のプロトタイプから20年。洗練の極みである。一方の日本では、巨匠のご先祖でもある島津楢蔵が1909年、初の国産車であるNS号を作ってみたものの、ニッポンの市販オートバイとしては、1933年、宮田(いまは茅ヶ崎にある消火器のメーカーである)のアサヒ号まで実現しなかった。
なんとこのオーナーさんはCRキャブ付けている。理由は、こんど聞いてみよ。単なるサイドバルブではなく、IOE(Fヘッドエンジン)つって、吸気はOHV、排気はサイドバルブという仕組み。この、ウルトラマンのアタマみたいなとんがった部分には、ロッカーアームとかが入っているんだろうなあ。