朝9時の茅ヶ崎の放射線量は75nGy/hである。なんでわたしがこんな日記に茅ヶ崎のデータを書けるかというと、神奈川県の計測場所が茅ヶ崎にあるのだ。茅ヶ崎市ががんばって放射線量を独自に測ってるわけぢゃなくて、神奈川県のデータ=茅ヶ崎のデータなんである。そして放射線量は、こんないい加減な日記を読まなくても、ちゃんと県のwebサイトでこんなふうに公開されている。
ね。このページで公開されてるグラフを見れば、放射線量なんか地を這うようなレベルで推移してるだけでしょ。なーんだ、世の中騒いでるけど、たいしたことないんぢゃん。とか思えるでしょ。これが、グラフのトリックである。
このグラフの下に、こんな注意書きがある。”5マイクロシーベルトは、原子力災害対策特別措置法において通報事象の発生(第10条通報)とされる値”。つまり先般、女川原発の正門前とか東海村の施設のモニタリングポストで計測され、こんな数字が出ちゃいましたー、なんかヤバいっすー、でも、きっとウチのせいじゃありまへん、と、それぞれの機関が国に通報してた報道を覚えていると思うけど、その通報が義務づけられた数値が、このグラフのテッペンなんである。そんな数字が出たときは、これはえらいこっちゃー、なときなんである。さらに、件の注意書きの上に、こんな補足もある。”過去の平常値の範囲 0.035〜0.069″。このグラフ、最小目盛りが0.1だから、平常値なら数値の線なんか書けない。つまりこんなグラフ、ナニも書いてないのと同じなんだよね。ついでに言うと、茅ヶ崎の平常年の平均値は0.037μSv/hである。平常値の範囲が0.035〜0.069なんて、まるで0.7くらいはふつうです、みたいに読めちゃうぢゃん。通常の範囲が0.035からで、平均が0.037なら、ふつうの高いときは0.039くらい。0.069なんてそもそも異常値なんぢゃないのか。
さらに言うと、神奈川県は現在のところ、放射線量を川崎の浮島、横須賀のハイランド、そして茅ヶ崎の県衛生研究所の3ヶ所で計測している。なんで「神奈川県の数値」として茅ヶ崎を出すのかな。それはきっと、茅ヶ崎の数値が一番低いから、なんだろうなあ。今朝の茅ヶ崎は75nGy/h、つまりこのグラフに書くなら0.075で最小目盛りより下だけど、川崎は0.1267、横須賀は0.1219と0.1を越えて、ちゃんとナニかがそこに確かにあるんだ、という印象を与えかねない……という配慮が、どっかにあるのかもしれない。誰がナニをどう配慮しようが、そこに通常と違う放射性物質が、確かにあることは事実なのに。