今日の夕景 と核事故処理の当事者能力がない国


雨が上がって、まるで夏のような雲が湧き上がる海。でも、風はまだ冷たい。角度によっては、きっとキレイな虹も見えたんだろうなあ。
それにしてもまったくこの国は、なにをやっているんだろう。とうとう日本の行政の頭を飛び越えて、IAEAに避難勧告を出されてしまった。こういう激甚災害に加えての原発事故である。やることがそりゃもういっぱいあって何もかも手が回っていないんだろうけど、とんでもないレベルの核汚染がハッキリしてる町があって、しかもそこで人が暮らしているのに、自分たちが指定した30km圏内ではないという理由だけで住人を危険な環境下に放置してる政府なんか、IAEAにしてみれば自分たちが教え、指示してやらないとナニもできない、そこらの未開国でしかなかったに違いない。
原発の事故が報道された当初、わたしのようなトーシロでさえ、こりゃスリーマイル超えたぞと気づくんだから、世界中の科学系の機関、国家的セキュリティにかかわる機関などにそれがわからないはずはない。報道されたように、早速各国の各機関からスペシャリストや特殊部隊の派遣など救援の申し入れを含め、各種の問い合わせがあった。もちろん善意だけではない。チェルノブイリの例を見るまでもなく、原子力の事故は、とっととナントカしないと影響が地球規模に及び、回りまわって自分とこもエライ目に遭う。だからとっととナントカしようと手を差し伸べもするし、自国で対処すべきことに手を打つために情報がほしいのである。
ところがこの国の政府は、ぶっちゃけ、まともな応対ができなかった。なんだこの情報は。パニックを防ぐために国民に対して情報を隠蔽しているのか、とTV見てたわたしも当初は思ったけど、実は情報を操作しようなどという高度な判断など、ほとんどマトモに働いていなかったのではないか。たぶん東電の根拠なく希望的に楽観した情報と、政権運営の実態の希薄さを政治主導の印象でカバーしたい政府の思惑がちぐはぐに交錯して、単純に混乱していただけだったのだろう。そんなわけで他国の政府機関や軍からは「日本政府の情報は不足して、かつ矛盾している」とか「日本はどうも原子力事故に対する当事者能力がないようだ」などと言われ、地震による被災に対して同情一色で暖かだった各国の反応が、不信の色にとって変わった。
結局、米軍の当該スペシャル部隊の手を借り、GEのスペシャリストの指示を仰ぎ、とうとうフランスからはアレヴァに来てもらい、同時にサルコジ大統領まで来ちゃった。アレヴァのCEOからフランスの大統領まで、わざわざ日本までナニしに来たのか。もちろんセールスである。日本に対してナニか売る、というのはたぶん二の次。これは中国とかアジア諸国、中南米諸国などに対して、フランスの核技術の高さと、フランス製原発の優秀性をプレゼンするための、格好の舞台なのだろう。だって福島の原発が事故を起こしてすぐに、サルコジは言っている。「フランスの原発は安全だ。日本の原発は安物だから事故った。フランスの原発は高価格だから入札で負けやすいけど、高いのはそのぶん安全性が高いからだ(もちろん大意ね)」。きっとアメリカが解決しちゃう前に、原子力大国フランスのプレザンスを世界に誇示しておこうという意図があるに違いない。一方のアメリカも、日本が復興資金欲しさに米国債叩き売ったらたまらんので、ロナルド・レーガンは出張るし海兵隊の専門部隊も飛んできている。こりゃ一種の恫喝か?w
カタストロフィに突き進む原発を止められるのは、米軍か、それとも世界最大の原子力企業か。世界に無能ぶりを露呈したばかりか、終わりの見えない放射性物質の海洋漏洩を続けてなんの手も打てず、周辺や環太平洋の諸国に白眼視されはじめていることに、この国の為政者たちは気づいているのか。気づいてても、どうにもできないのか。政・産・官・学のトロイカ三頭政治ならぬ四頭利害共同体で後先考えずにやってきた東電と原子力行政は、この事故発生時には政のアタマが入れ替わっていたけど、どっちにしろホントに原子力事故に対する当事者能力がなかった、というわけなのだった。

Author: shun

2 thoughts on “今日の夕景 と核事故処理の当事者能力がない国

  1. 31日の時点で「福島第1原発の 南約50キロ、沿岸から約10キロの沖 で30日に採取した海水調査で、原発か ら排水する濃度限度40ベクレルを超え る79・4ベクレルの放射性ヨウ素を検 出したと発表した 表層や水深83メートルでもヨウ素を 検出」(共同通信)
    引用ですいませんが50キロメートルでも既にこの値。
    バリウムも検出。
    これは原子炉内の水が直接の海へ流れ出ているという事です。
    当然プル トニウムも流れ出ていると考えるのが自然。
    そしてテレビはひたすら「薄まるから安全」と。
    全方位に同率で薄まるものでしょうか?
    潮流であるところへ濃く流れていくのでは?というのは素人考えですかね。
    こんな事言うと恐怖心を煽っている、と言われちゃいますかね?(^^;)p

  2. べーさん:
    いや、もちろん拡散するのです。海流や海洋循環によって世界中の海へ。日本の太平洋側沿岸に広がりつつ、とりあえず黒潮にのってアメリカ方面に行くんではないですかね。

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