朝9時の線量は0.043μSv/h。そしてこの24時間は42〜43で推移していたようだ。
失敗学の畑中主導政府事故調も結論を出したが、結局は菅直人が現場をぐちゃぐちゃにした、という報道ばかりである。”参与乱立「やめた方が…」枝野氏が菅氏に”など、なんでもかんでも菅のせいにしとけばいいやって感じ。いつものように産業経済新聞など「「菅さん、あなたが悪い」と記すべき 政府事故調最終報告」である。さすがに細野環境相が「菅前首相は日本を救った」と、撤退問題に反論したりしているなあ。まあ、撤退問題に関しては前も書いたように、おそらくは清水が、現場の意思は関係なく、全面撤退を言った、あるいは強く示唆したんだろうとワシは思っている。菅が現場に介入したのは、もちろん混乱を多くした側面もあっただろう一方で、その理由は東電や官僚からまともな情報を上げられなかったからでもある。
でさー、実はそんなこたーどうだっていいんである。すべては原発がぶっ飛んだ後の話だ。マスコミはみーんなそこの話を忘れてるのか、あるいは敢えて知らんぷりしてるのかしらないけど、事故調査委員会が最も調査し、明らかにすべきなのは、なんで原発がメルトダウンしたのか、ぢゃないのか。原発でなにが起き、なにがどうなって、どういうプロセスで事態が進行したのか。そういう点が明らかになってこそ、真の意味で、次の事故を防止するための策を考えられるはずなんだけど、肝心要のそこが、まったく表に出てこない。
たとえば飛行機が墜落事故を起こしたら、その墜落現場は直ちに封鎖され、アメリカなら国家運輸安全委員会が、日本なら運輸安全委員会(前の航空・鉄道事故調査委員会)がコックピットボイスレコーダーなりフライトデータレコーダーなどの記録類を確保し、航空会社を立ち入り調査し、必要であれば証拠類を留置保全して原因究明にあたるわけだ。
ところが今回の事故では、事故現場も、事故に至るすべての記録も、事故処理に当たった本店と現場の通信記録も、なにもかもが事業者である東電の手に委ねられたままだ。犯人が、自分の犯罪の証拠を握っているようなもんである。TV会議の録画なども、写ってる人間のプライバシーなどという珍回答で公開を拒んだり。あのなあ、飛行機事故でのボイスレコーダーの記録が、機長や管制官のプライバシーに当たるか? 逆に言うと東電と発電所は、あの非常時にそんなプライベートな会話でも楽しんでたのか?
運輸安全委員会に似たような名前の原子力安全委員会は、周知の通り無力だった。そして東電の強力がまったく得られなかった民間事故調は言うに及ばず、それなりの権限が与えられていたはずの政府事故調も国会事故調も、出した結論はと言えば、安全神話にあぐらをかいて備えを怠っていた、なんて子どもでも言えるような精神論と、菅が事後処理をややこしくした、という話だけである。肝心の「なぜ原発事故が起こったのか」という、科学的な原因究明は、まったくできていない。まあ、ヒコーキの事故と違って誰もまだ現場を見ていない、というのが、核事故の怖さでもあるわけだけど、それにしてもこの国に、科学はないのか?